Despair of truth
「アスラン!アスラン、しっかりして!!」
アスランが急に倒れこんできた為に、僕は彼を支えきれずに押し倒される形になってしまった。
とっさの事に受け身を取り損ねた背中が痛かったけど、そんなことは言っていられない。
何度もアスランに声を掛けたけど返事がない。
焦った僕は急いで呼吸の確認して━━━…
……って、アスラン…もしかして寝てる?
口元に耳を近づければ、気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。
…………ιιι
「…はぁー、もうびっくりしちゃったよ~ι」
(あ……、やっぱりタンコブ出来てる)
すごい音したもんなぁ…とその時のことを思い出してセレナは空笑いがでた。
すぐに近くのソファーに引きずりながらもアスランを寝かせてから、自販機で買ったミネラルウォーターをハンカチに染み込ませて頭に宛がう。
(顔色が悪い……疲れてるのかな…)
膝にのせたアスランの顔色はお世辞にも良いとは言えない。
今回の強奪の件も疲れの一端ではあるのだろうが、他にも色々と抱え込んで悩んでいるのかもしれない。
「アスランってば…、本当に生真面目過ぎなんだから…」
あんまり無理しないで……、と彼の藍色の髪を優しく梳いたけど、昔に比べてパサパサの髪質に、梳いてた指が何度も繰り返し途中で止まってしまう。
それがアスランの今の状態を表している様でなんだか悲しかった。
「ぇ…、ア…スラン?」
「ッ!!?」
最近聞きなれた声が耳に入って、セレナは勢いよく顔を上げた。
「アスハ、代表…」
予想通り、そこにいたのは輝かんばかりの黄金の髪持つ、オーブの代表。『カガリ・ユラ・アスハ』が驚いた顔でこちらを見つめていた。
「オイ!どうしたんだ!アスラン大丈夫かッ?!」
「ぁ、あのッ!大丈夫ですアスハ代表。彼は寝てるだけですから」
「寝て……、っ~~~紛らわしい奴だな…(怒)」
勘違いに気づいて渋い顔をする彼女。その横顔は最初に出会った凛然たる一国の代表ではなく、年相応の少女の顔だった。
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