Despair of truth


「…セリーナ」

「はい?」

アスランの表情が変わった。
いままで悲しげな表情しか見せなかった彼の顔に、小さな笑みが零れていた。

「名前を、呼んでくれないか…」

「え…」

唐突な彼の願いに、セレナは反応出来なかった。

名前を呼べとは、どう言う意味なのだろうか。単純にアスランと名を言葉に出せばいいのか。

「ア…アレックス……さん?」

迷いに迷った挙げ句、セレナは彼の偽名を言ったが━━━

「………違う。『アスラン』だ」

「えっ?」


「アスランだよ、…キラ」

「っ!?……ァス、ラン…?」

「うん、もう一回…」

そう言いながらアスランは立ち上がり、セレナを包み込むように優しく抱きしめてきた。

「…アスラン」

「うん…うん…」

抱きしめた感触がとても懐かしく感じる。
涙が出そうだった。
自分はこんなにも彼女の存在に飢えていたのかと。

セレナがおずおずとおれの背中に手を回す。
そのことに俺は驚いた。声だけでなく、その行動までキラと同じだなんて。

キラも抱きしめると俺の胸に顔をうずめて優しく抱き返してくれていた。
俺は目を閉じて更に彼女を抱きしめた。


あぁ…懐かしい匂い。キラの匂いだ……。


「アスランッ?!」

キラ? ごめん…ちょっと眠いんだ。
なんだが、安心しちゃって……少し寝かせてくれ…。




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