Despair of truth



そんな俺と紅服の少女の言い合いを止めたのは以外にも一緒にいたシンだった。

「よせよ、ルナ。オーブにいる奴なんかに。━━何も分かってないんだから…」

捨て台詞を吐いて去っていくシン。その後ろ姿には、怒りと悲しみの入り交じったシンの複雑な思いが垣間見えた気がした。

それに続いて興味が失せたのか、レイも失礼しますと敬礼をしてすぐに部屋から出て行ってしまう。

「━━でも、艦の危機は救って下さったそうで…、ありがとうございました」

シンにルナと呼ばれ、俺を挑発していた紅服の少女も俺と話をして少しは満足したのだろう、上辺だけの謝礼を述べてさっさと行ってしまった。

「あ、待ってよ!お姉ちゃ~ん!」

彼女と姉妹なのか。紅服の少女の後を管制の少女がこの気まずい雰囲気から逃げる様に姉に後を追うように去って行く。


「……はぁ」

一人になりたくて来た場所だったが、やっぱりレクリエーションルームじゃ無理があるかと思い、再びカガリと共に与えられた部屋へ戻ろうかと考えているとか細い弱々しい声が俺を呼んだ。

「ぁ…あのアスラン…、アレックスさん」

呼ばれて顔を上げた先、入り口には残されたセレナが一人でポツンと立っていた。

「君、セレナ…だっけ」

「はい、セレナ…セリーナ・エレナーデです」

恭しくザフトの敬礼を俺にしてくる彼女。その姿に何だか少し苦笑する。

「そうか…済まない、馴れ馴れしく呼んだりして」

「え?ぁ、いえ、そんな…」

いままで軽々しく呼んでいた名━━と言っても心の中でだけだけれど━━が愛称だと分かって謝るアスラン。

「ふふっ」

「…セリーナ?」

謝ったと思ったら いきなり笑われてアスランは疑問符を浮かべる。
自分は何か可笑しなことを言ったのだろうか?と

「あ!ちが、違うの。あの…えぇっと……アスラン、真面目だなぁって、思って」

「!?」

『も~~アスランってば、いつも真面目過ぎるんだよ』


━━あぁ……そうか。そうだったのか。

この瞬間、アスランは今までセリーナに感じていた違和感の正体がようやく分かった気がした。

「?? アスラン…?」

自分を呼ぶセリーナの顔に亜麻色の髪の少女がダブる。


そうだ、セリーナのこの声は━━…


『アスラン、こっちこっち!』


何故、すぐに気がつかなかったのか。

いままで生きてきた中で一番聞いていた声なのに…。


『アスラン、大好き!』

涙が出そうなほど聞いていて安心するセリーナのこの声は……。



大好きなキラの声と同じだったから。


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