Despair of truth
初めての実戦。
飛び出した宇宙は、あの時と同じ色で少し恐かった…。
「くっ!」
俊敏な動きでこちらを翻弄するガイア。
ライフルを放つが安々とかわされ、逆に攻撃されてしまう。
(駄目だ、集中しなくちゃ!そうだよ、さっきみたいに冷静にやれば…)
同時に脳内に甦る映像。
自分の放ったビームライフルによって爆発した敵のMS。
「ッ!!?」
震えが止まらない。
決めた筈だったのに…
誰かの幸せを壊しても
この手を血に染めてでも叶えると誓った筈なのに。
自分の決意がどれ程甘かったのか、こんな時に思い知らされるなんて。
(…でも、やらなくちゃ。僕には…僕には、もうこの道しかないんだから)
護らなくちゃ、ミネルバも、皆も……
そのミネルバが気になってチラリと艦のほう見れば、そこには信じ難い光景が━━。
「…なっ!? ミネルバッッ?!」
大小数多の岩塊と共にその場を脱出するミネルバの姿。
進水式もしていない、あの美しかった装甲は今や見る影もない。
(あの八方塞がりの状態からどうやって…)
━━だが、どうやら危機は脱したようで、敵戦艦から信号弾が放たれたのが分かった。
「帰還信号…」
それと同時に強奪された三機も戦闘をやめて直ぐに自分達の母艦へと帰還していく。
目の前で逃げる敵を追う気力は今の三人にはなかった。
インパルスとザクは、パイロット共々体力の限界が近かったし、ストライクは機体はまだまだ大丈夫なのだが、パイロットのセレナが精神的に闘える状態ではなかった。
三人はミネルバからも上がった帰還信号を認めて、荒い呼吸を吐きながら無言でミネルバに帰って行く。
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