Despair of truth
今のこのブリッジに、数分前の会話を気にしている者はいないだろう…
「後ろを取られたままじゃどうにも出来ないわ…。回り込めないの」
「無理ですッ!状況回避だけで今は…」
それは有り難いことだが、この状況ではその事すらどうでもいい事のように思えた。
捕捉した謎の艦。
『ボギーワン』と名付けられたそれは、今もどこの者かは分からない。
一つだけはっきりしている事と言えば、恐ろしいほどに計画的なことだ。
現に今、ミネルバは敵の罠に嵌まり危機的状況に追い込まれていた。
「レイのザクとセリーナのストライクを!」
「これでは発進進路も取れないわ!」
「ぁ…うぅ……」
案が出ては消え、出ては消えを繰り返している内にも、状況は刻一刻と悪化し続けている。
ミネルバは逃げるだけで精一杯。
例の三機と闘っているシン達も苦戦しているようで、ミネルバに戻ることは難しいだろう。
…これも全ては敵の予想通りなのだろうか。
だとしたら、今の状況はあっちにとっては絶好のチャンス。
もしかしたら、このまま一気に片をつける気じゃあ……
「ミサイル接近!数六!」
「迎撃っ!」
「でも、これは…」
(直撃コースじゃない…?)
ミサイルが狙っているのは、ミネルバが盾にしている小惑星……まさかっ?!
「まずいッ!艦を小惑星から離して下さい!!」
「えっ?」
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