Despair of truth




搭乗機で待機していた僕たちパイロットに、管制でルナマリアの妹━━メイリンからグラディス艦長の指示が伝えられる。


シンとルナで先制。
サポートにショーン、デイルがつく事になった。

僕とレイは指示があるまで待機。


「シン、ルナ…気をつけてね」

『大丈~夫っ!デブリ戦は苦手だけど、今度は機体もバッチリだし』

『それに気をつけてって、セレナだって出るかもしれないんだぞ。気をつけろよ』

セレナは何処か抜けてるからなぁ

眉尻を下げて見てくる顔は、まるで妹(実際は年上だが)を心配する兄だった。

(クスッ……やっぱり、シンは優しいよ、ルナ)





*******


『…セリーナ』

「っ!」

突然自分の機体に繋がった通信。

「レイ?」

どこか冷めたような落ち着いた声は、自分と同じようにその場待機を命じられたレイだった。

「…なに」

『分かっていると思うが、アスラン・ザラには不用意に近づくな』

なんの脈絡もない、唐突な言葉。

だが、セリーナ━━セレナは直ぐにその話の内容を理解した。

「…分かってる」

俯いて話すその顔に、いつもの明るさはない。

しかし、レイはそんな事などお構いなしに淡々と話を進める。

『確信はないが、恐らく彼はお前に何かを感じている』

「えっ…。アスランが?」

自然と頬が緩んでくる。ヘルメット越しに両手を当てて緩みきった顔を隠そうとするが、喜びの顔は隠せない。

それを見たレイは鋭い眼光で彼女を睨みつけた。

『だから不用意に近づくなと言っている。今は、まだお前の事がばれる訳にはいかないんだぞ!』


「…分かってるよ」

『前にも言ったが、お前が議長の邪魔をするというのなら、俺は容赦は』

「…しないよ、僕━━私は、もう決めたんだから」

自分で、自らの進むべき道を━━…

『……ならばいい』



それきり、レイは通信を繋いでくることはなかった。

信じてくれたのだろうか?

彼が自分に対して邪険な態度をとるのはしょうがない。
それだけの理由が彼にはあるのだから。


そして、そんな態度をとらせている原因が、僕にはあるから…。



26/40ページ
スキ