Despair of truth





「本っ当にシンってば子供なんだから!」

レイと別れて女性用パイロットルームに入るなり、ルナマリアは突然思い出したかのように怒り出した。

「あんなに皆の前で堂々とキレる普通?」

「ルナ、シンだって苦しかったんだよ…きっと」

「何言ってんのよ!それはセレナだって……その」

その先を言いにくそうにしているルナマリアに、ふるふると首を振って遮る。

「僕は、直接オーブとは関係がないから…」

セレナが俯いて訪れる沈黙。

それに耐え切れず、もうっ!と言いながらルナマリアはセレナをぎゅうっと抱きしめた。

「ご家族を…喪くして哀しいのはセレナも一緒でしょ、シンだけじゃないわ」

彼女の首筋に顔をうずめて更にきつく抱きしめる。

いま自分が言った言葉で傷ついているであろうセレナの心を慰めるように…

だが、セレナは思いもよらない返事を返してきた。

「ありがとう…でも違うよルナ。シンは優しいから、僕の分まで怒ってくれてたんだよ」


……………は?


「……セレナ。いくらなんでもそれはシンを美化し過ぎでしょ」

あれは絶対、アスハ代表の言葉に単純にキレただけだと思うわよ。

セレナの為とかじゃないわ、絶っ~対に!

ポジティブ思考にも程があるわよ…ι
自分に対してはとことんネガティブ思考な癖に…


セレナは昔からこうだ。

他人を過大評価し過ぎる節がある。

しかも、それが地で天然だから凄い。


「もぅ、まったくセレナは…いつもいつも」

にこにこ笑っているセレナを見ていると毒気を抜かれていく感じがする。

自分は何であんなに怒っていたんだ?と思わせる程に


ルナマリアはもう一度セレナを抱きしめた。

今度は優しく、包み込むように柔らかく。


「ルナマリア・ホークは何があってもセリーナ・エレナーデの味方なんだからね…」


「!!………うん…」



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