Despair of truth
━━同時刻
ミネルバMS格納庫
「オーブのアスハ?!」
「うん、私も驚いた。
こんな所で大戦の英雄に会うとはねぇ」
英雄…。
その呼び方に反吐が出そうになる。
何が英雄なもんか。
国を焼いて、俺の家族を見殺しにした癖にッ!
「━━でも、何?…あのザクが、どうかしたの?」
どうやら知らず知らずの内に目が自然とあのザクを見ていたらしい。
同期の紅服を着た少女━━ルナマリア・ホークが訝しげな目で俺を見る。
「ぁ…いや、ミネルバ配備の機体じゃないから、誰が乗ってたのかな…って」
あのザクは、さっきの戦闘で強奪犯から俺を助けて機体を損傷したようなものだから
「操縦してたのは護衛の人みたいよ。『アレックス』って言ってたけど」
でも!アスランかも!と
瞳をキラキラさせてルナマリアは言った。
「代表がそう呼んだのよ。その人のこと…咄嗟に『アスラン』って」
アスラン━━って、確かアスハと同じ英雄の…
「『アスラン・ザラ』
今はオーブにいるって噂じゃない…」
彼の乗っていたザクを見上げてルナマリアは楽しそうにしていたが
「アスラン・ザラ…」
俺は…何だか複雑な気分だった。
「ルナァ!シン!」
二人が互いに感慨に耽っていると下から元気な明るい声に名前を呼ばれた。
「あっ!セレナ」
下を見るとシンやルナマリアと同じ軍服を纏った少女が二人に向かって手を振っていた。
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