Despair of truth
あの新型機強奪の事件以降は、特に違和感を感じることはなかった。
それは、ザフトの新造艦ミネルバに乗っている今も━━
「本当に御詫びの言葉もない。…姫まで、このような事態に捲き込んでしまうとは…」
デュランダル議長は申し訳なさそうに彼女に向かって詫びる。
「…ですが、どうか御理解、頂きたい」
彼の斜め後ろには白服の凛々しい女性が控えていた。
同年代に見えるアークエンジェルの艦長とはまた違った印象を受ける人だ。
恐らくはこの女性がミネルバの艦長なのだろう。
時折り、自分に鋭い視線が向けられいるのが分かった。
「あの部隊については、まだ全く何も解っていないのか…」
今回の事にカガリは相当な憤りを感じているのだろう。
それは今の彼女の顔を見れば誰でも直ぐ解るほどに、その不機嫌さを全面に出していた。
「ええ、まあ、そうですね。艦等にもはっきりと何かを示すような物は何も…」
「……そうか」
「しかし、だからこそ我々は一刻も早く、この事態を収拾しなくてはならないのです。
取り返しのつかない事になる前に…」
「……」
「……」
その言葉は俺やカガリの中で、とてつもなく重く響いた。
取り返しのつかない事…
『あ……ぁ…キ…ラ…?。
キラァー――!!!』
「……っ…」
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