Despair of truth
『アスラン!』
目を閉じれば脳裏に浮かぶのは無邪気に自分に笑いかけてくれる亜麻色の髪に紫の瞳の少女。
彼女が陽光の中に立つと、亜麻色の髪がキラキラと黄金に光り輝いていた。
紫の瞳も、アスランにとってはどんな宝石よりも、ずっと価値のあるものだ。
体からスラリと伸びた長い手足も、眩しいくらいに綺麗な笑顔も…
彼女は本当に美しかった。
その様はまさに『天使』と言っても過言ではない。
そんな幼馴染みの彼女がアスランは、ずっとずっと好きだった。
だから、告げた。
キラと初めて逢った月面都市コペルニクスで
キラの大好きなサクラの木の下で
愛の告白をした。
受け入れてくれた時は嬉しくて思わず力一杯に抱きしめて、キラが酸欠になりかけていたのを覚えている。
━━情勢が悪化し始めてからは共にプラントへ移って暮らした。
父も母も仕事で忙しく、殆んど家には帰って来なかった。
だから必然的に俺とキラの二人暮らしに近い状態となり、俺たちの仲は急速に深まっていく。
キラが俺の隣で、笑って傍にいてくれる。
俺の事を好きだと言って頬を染めながらキスをしてくれた。
俺は、この時ほど幸せだと感じた『トキ』は無かった。
…けれど、そんなキラの元気な姿が見れたのも3年前。
血のバレンタインが起こるまでだった。
今でも思う。
あの時、キラを止めていれば……と。
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