Despair of truth
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「姫は先の戦争でも、自らMSに乗って戦われた勇敢な御方だ」
「……」
「また最後まで圧力に屈せず、自国の理念を貫かれた『オーブの獅子』
ウズミ様の後継者でもいらっしゃる」
まるで子供を諭すみたいに遠回しに話をする。
本当に議長は何を考えているのか。
カガリ相手では、実際にオーブ移住者の現状を見せたほうが早いと踏んだのか。
カガリは、その事に気づいているのか、いないのか黙って議長の話を聞いていた。
「ならば、今のこの世界情勢の中━━我々はどうあるべきか……。
よく御解りの事と思いますが…」
「我らは自国の理念を━━」
会談が続くなか、俺はずっと気になっている事があった。
ここに来る前に新たに議長の護衛として加わった紅服の少女。
これといって目を引く容姿ではない。
ナチュラルの中では普通だろうが、容姿が整っている者が多いコーディネイターに混ざると埋もれてしまいそうな、パッとしない少女だった。
紫がかった灰色の冴えない髪は、以外にも指通りが良さそうで…
反対に紫の瞳は何処までも透き通っていて、とても綺麗だった。
まるで『キラ』みたいに━━。
キラ…
いま彼女はどうしているのだろう。
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