Despair of truth






*******



「姫は先の戦争でも、自らMSに乗って戦われた勇敢な御方だ」


「……」


「また最後まで圧力に屈せず、自国の理念を貫かれた『オーブの獅子』
ウズミ様の後継者でもいらっしゃる」


まるで子供を諭すみたいに遠回しに話をする。

本当に議長は何を考えているのか。


カガリ相手では、実際にオーブ移住者の現状を見せたほうが早いと踏んだのか。


カガリは、その事に気づいているのか、いないのか黙って議長の話を聞いていた。


「ならば、今のこの世界情勢の中━━我々はどうあるべきか……。
よく御解りの事と思いますが…」



「我らは自国の理念を━━」


会談が続くなか、俺はずっと気になっている事があった。

ここに来る前に新たに議長の護衛として加わった紅服の少女。



これといって目を引く容姿ではない。

ナチュラルの中では普通だろうが、容姿が整っている者が多いコーディネイターに混ざると埋もれてしまいそうな、パッとしない少女だった。


紫がかった灰色の冴えない髪は、以外にも指通りが良さそうで…
反対に紫の瞳は何処までも透き通っていて、とても綺麗だった。






まるで『キラ』みたいに━━。







キラ…




いま彼女はどうしているのだろう。





9/40ページ
スキ