Jigsaw puzzle《完結》




その所為で回りも傷つき、それに自身も嫌悪に陥る悪循環。


…ハルマさんの仕事は大失敗に終わったそうだ。

昇進の話も勿論なし。


「アスラン、今日のお夕飯は何がいい?」

「ぇえ?いま昼ご飯食べてるのに、もう夕飯の話?」

「もうじゃないよ!時間なんてあっという間に過ぎちゃうんだから。それに買い物にも行かなくちゃ行けないし…、僕まだ、おばさまみたいに有り合わせで料理出来ないんだもん」

ぶつぶつ言いながら口を尖らせてそっぽを向くキラのその姿さえ可愛く見えてしまう俺は、既に末期なのかもしれない。


病名は、もちろん『キラ馬鹿!』でvV

「もぉ~キラ可愛いぃ!」

「可愛くないもん!」

抱き着こうとした手はするりとかわされ、虚しく空を切る。

どうやら怒らせてしまったらしい。

シートの隅っこで俺に背を向ける形で体育座りしている。キラはカリダおばさんに叱られた時や自分の気に入らない事があると、ああやって誰かが来るまでずっとそこにいる。

(あぁ…、確かあの時もそうだったな)


『アスランのお父さんとお母さんが来てくれるまで僕帰らないもん!!』

クスッ

「…アスラン、今笑った」

「え?」

「笑った~!」

むぅ~と今度は頬を膨らませて怒るキラ。自分が笑われたと勘違いしたようだ。

その顔も可愛いと思ったのは言わないでおこう、これ以上やると数日は機嫌を治してくれないだろうから。

「違うよキラ。ちょっと昔を思い出してたんだ」

「むかし…?」

そう、昔からキラは俺の傍にいてくれたんだ。
いつも…いつでも一緒にいてくれた大好きなキラ。

だから今度は俺がキラを護るんだと誓った。

━━過ぎる年月が俺の体を段々と大人に成長させていった。それに比例して精神(心)も成長するのだと思っていた。

でも、いつまで経っても変わらない自分。せめて学校だけでも、と外にいる間は必死に虚勢を張って見せた。


そうしたらある日突然キラが泣きながら俺に縋って来たんだ。

びっくりしたけど、内心凄く嬉しかった。いつもキラに頼ってばかりいたのに、そのキラがいま俺の腕の中で泣いて、俺に助けを求めている。


優越感でいっぱいになった。

キラが泣いている。俺がキラを慰めている。
その現実は俺を酷く高揚させた。



だから気付かなかったのかもしれない。

キラの心が、それほど深くまで堕ちてきていた事に……。


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