Jigsaw puzzle《完結》
「アスラン、天気もいいから此処でお弁当食べようよ」
彼女が誘ったのは閑散とした平日の公園。
「そうだな、人もあんまりいないし、静かで丁度いい」
キラは生い茂る大きな木の下にビニールシートを敷いて、アスランに持ってもらっていたバスケットを受け取り開く。
「うわぁっ!美味しそうだな」
中身を見たアスランは感嘆の声を上げた。
バスケットには多様の具材を挟んだサンドウィッチと唐揚げに玉子焼き、その横のタッパには色とりどりのカットフルーツもあった。
「えへっ、おばさまに少し手伝って貰ったんだけど…ね」
はにかんで笑うキラ。
それに俺は満面の笑みで応える。
のどかな平日の公園に、見かけることのない少年少女。
当然だ。この時刻なら自分達は、まだ学校にいる時間帯だ。
(よく俺たち補導されないなぁ)
内心で苦笑しながら、そんな事を思う。
そもそもこれは、キラが入院している間に両親と話し合って決めたことだった。
暫くの間、俺とキラは学校を休学する事━━と。
俺たち二人には、時間が必要だと父上と母上は言った。
何にも縛られない、ゆっくりとした二人だけの時間が━━…
それはヤマト夫妻にも言えることだった。
今のヤマト家はかつての俺達だ。
自分自身のことに精一杯で他の人を気遣う余裕がない。その癖、人が幸福そうにしている様は、嫌でも目につく……。
イライラして一番側にいて、言いやすい家族に当たってしまう。
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