Jigsaw puzzle《完結》
「…俺、人と話すのがあまり得意じゃないんです」
小学校に入学した頃はキラ以外と会話をしたことは殆どなかった。
それが原因なのか、友達もあまりいなくて…
頑張って何度か話を合わせてもみたけれど、俺にとってそれは、ただ苦痛でしかなかった。
「高校生にもなってこんな事を言うのも情けないんですけど…」
今でもないといえば嘘になる。
でも、それは違和感程度にまでは落ち着いてきていた。
ここまで来れたのは、全てキラのお陰。
「それと、やらなきゃいけないことが分かったので…」
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「何だか、すっきりしたお顔でしたわね」
「えぇ、迷いがなくなったという感じでした…」
自分達とて彼が無理をしているのは薄々感づいてはいた。
ただ、それがそれ程重いものだとは思わなかったけれど…
「あいつが抜けた穴はどうします?」
一年生だったとは言え、アスランは自分達の仕事の補佐が出来るほどに優秀だった。
彼が抜けたことは相当の痛手だ。
「ご安心下さい。既に目星を付けている方がおりますの」
「……会長はザラが辞めることを分かっていたのですか」
あまりの手際の良さにイザークは思わずラクスに聞いてみた。
「そうですね、何時かは……と」
「そう…ですか」
彼女のその見通しの深さには、いつもながら感服する。
その彼女の視線の先には、校庭からこちらに向かって深く頭を下げるアスランがいた。
焦る必要などないのですよ、アスラン。
貴方も彼女も……
ゆっくりでいいのです。
その手を決して離さず、ゆっくり彼女と歩いていきなさい。
貴方は…貴方が思っている以上に頑張ってきたのですから……
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