Jigsaw puzzle《完結》



「…俺、人と話すのがあまり得意じゃないんです」

小学校に入学した頃はキラ以外と会話をしたことは殆どなかった。

それが原因なのか、友達もあまりいなくて…

頑張って何度か話を合わせてもみたけれど、俺にとってそれは、ただ苦痛でしかなかった。

「高校生にもなってこんな事を言うのも情けないんですけど…」

今でもないといえば嘘になる。
でも、それは違和感程度にまでは落ち着いてきていた。


ここまで来れたのは、全てキラのお陰。

「それと、やらなきゃいけないことが分かったので…」




******


「何だか、すっきりしたお顔でしたわね」

「えぇ、迷いがなくなったという感じでした…」


自分達とて彼が無理をしているのは薄々感づいてはいた。

ただ、それがそれ程重いものだとは思わなかったけれど…

「あいつが抜けた穴はどうします?」

一年生だったとは言え、アスランは自分達の仕事の補佐が出来るほどに優秀だった。
彼が抜けたことは相当の痛手だ。

「ご安心下さい。既に目星を付けている方がおりますの」


「……会長はザラが辞めることを分かっていたのですか」

あまりの手際の良さにイザークは思わずラクスに聞いてみた。

「そうですね、何時かは……と」

「そう…ですか」

彼女のその見通しの深さには、いつもながら感服する。

その彼女の視線の先には、校庭からこちらに向かって深く頭を下げるアスランがいた。





焦る必要などないのですよ、アスラン。

貴方も彼女も……


ゆっくりでいいのです。

その手を決して離さず、ゆっくり彼女と歩いていきなさい。


貴方は…貴方が思っている以上に頑張ってきたのですから……


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