Innocence《完結》
━━そう…
今まで通りではいられない。
ラクスも、カガリも
もちろん俺も…
過去に戻れないように
何も知らないで二人無邪気に笑い合っていた。
幸せを身体全体で感じていた━━あの頃には…
子供のままではいられない。
時代がとどまることを許してはくれない。
彼女以外は━━
キラ…
お前は今もプラントで眠り続けているのか?
「アスラン」
「ぁ、はい」
「わたくしはもう帰りますけれど、アスランはもう少ししてからお帰り下さいな」
でないと子供達に怒られてしまいますわよ。
そう言い残すとラクスは一人でさっさと帰ってしまった。
取り残された俺は、帰るなと言われ、どうしようかと考えあぐねる。
そこでフッと目に入ったのは、自分の影。
そしてそれを作り出している優しい光━━静かに夜を照らしてくれる綺麗な“月”だった。
「……月…か」
月を見ていると何故か心が落ち着く。
それは月が綺麗でということもあるのだが、月は俺にとって大切な場所だから…
そこは俺とキラが初めて出逢った
俺達にとっての平和の地。
始まりの場所だから。
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