Jigsaw puzzle《完結》




だって、彼は泣いていたから。


表情は笑ってるのに涙を流していたんだ。

だから聞いた。

「悲しいの…?」って


そのエメラルドグリーンの瞳から零れる綺麗な雫を拭おうとしたけど、僕の手は言うことを効かずに指先だけが彼の頬をかする。

「違うよ、キラ」

何が違うの…?アスラン

届かない僕の手を握りしめ、アスランは自ら顔を近づけて言った。

「悲しいんじゃない……、嬉しいから泣いているんだ…」


分からないよ、アスラン。何がそんなに嬉しいの…?


涙を流すほどに━━…


困惑しているキラを見てアスランはクスリと笑い、寝ているキラに覆い被さる。

「もちろん、俺の眠り姫が目覚めてくれたからだよ…」

耳元で囁いてキラを抱きしめる。
彼女が苦しくない程度に優しく、触れるだけの抱擁を。


「おはよう、…キラ」



━━俺のお姫さま…



24/32ページ
スキ