Jigsaw puzzle《完結》
…思い返せばアスランの寂しげな顔や言動は多々あったように思う。
二人で話していても、知らない間に視線は何処か違うところを見つめていた事も。
『うん、それでね……。アスラン…?』
振り返るとさっきまで話していたアスランは何もない虚空を見つめていた。
『…ん、何?キラ』
まるで何事もなかったかのようなアスラン。
『ぁ…ううん、何でも…な、い…』
『クスッ、どうしたんだ、キラ』
薄く微笑んで、僕の前髪を優しい手つきで梳いてくれる。
そこに、先程の憂いは微塵も見えない。
その時はそこで終わった。少し心配だったけど、あの頃の僕にはそれ以上アスランの事を気にかける余裕はなかった。
『…キラ』
ごめんね、アスラン…
『キィ~ラァ~!』
僕、全然気づいてなかった…。
自分の事に精一杯で…、
ううん、違う。
自分の事しか考えてなかったんだ。
ただ幸せだったあの頃も、そして今も━━
「……ラ」
謝らなきゃ、アスランに。
ちゃんと、ごめんなさいって
いままでの事を謝って、それから二人で話そう。
これからの事、ちゃんと話さなきゃ。
そう決めた瞬間、段々と意識が浮上していくのが分かった。
*****
何かが頬に触れている。
優しく、まるで壊れ物を扱うように触れてくるから少しくすぐったくて
でも、この感じを知っている気がしてゆっくり目を開けた。
━━あぁ…そうだ
優しくて、温かいこの手は…━━
「…ァス…ラ…ン?」
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