Jigsaw puzzle《完結》




ここは何処…?


何も見えない、何も聞こえない。

ただ目の前に深い暗闇が広がるだけ…


「母さん…、父さん!」

急に不安になって両親を呼んでみても、トンネルの中のように自分の声が反響してくるだけ。


「ッ~~ アスラン!!!」

今の状況に耐え切れなくなったキラは恋人の名を叫びながら走り出す。

「嫌だ!嫌だ!!一人はやだよぉ」

終わりの見えない闇の中で、一体自分はどこまで走ったのか、時間にしてどのくらい走り続けているのかすら分からない。

「ァス…ラン…、どっ、何処なのぉ」

やがて走り疲れ、泣きながら当てもなくただ歩いていると、前方から小さな一筋の光が差し込んでくるのが分かった。

「…ッ!!?」

その光を見た瞬間、キラは反射的に走り出していた。

自分以外何もない暗闇の世界で、あの光は唯一の希望のようにキラの目に映った。


「はあ、はぁ……えっ?」

だが段々近づくにつれ、キラは光と共に奇妙なものを見つけた。

「…何、これ」

そこにあったのは一つの扉。光はそこから漏れていたのだ。

何もない空間に浮かぶ怪しげな扉。

戸惑いつつもノブを回せば、すんなり扉は開き、中からは溢れんばかりの白い光がキラを包み込んで行き、


━━そして…



『はいお母さん、お花!』

「え…?」

扉の中から聞こえてきたのは子供の声。

暫くすると光も段々と治まり、そこにいた大小二人の輪郭がはっきりと浮かんできた。


「…女の子?」

最初に見えたのは、まだ小さな子供の姿。

肩まで伸びたサラサラの亜麻色の髪に紅葉のような小さい手。

喋り方はまだ幼い子供特有の拙さが残っている。

あれは…


昔の僕━━と


『あら、綺麗な花ねぇ。どうしたの?このお花』

波打つ紫の髪が綺麗なこの女の人は…



「母さん…?」


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