Innocence《完結》





「わたくしが最初に質問致しましたのに」

俺の質問を質問で返した事にラクスは小さく笑う。

「あぁ~、う~…すまないι」

いいえと言いながらも彼女はまだクスクスと笑っている━━と


「わたくしは…」

「えっ?」

「わたくしは戦争を止めるためとは言え、戦場で多くの同胞の命を奪ってしまいました…」

沈痛な面持ちで彼女は自分の想いを語ってくれた。

嬉しかったが、同時に痛かった。

「ラクス…。だが、それは…」

「えぇ、仕方のない事だと解っています。
…ですが、頭では解っていても心は、そうはいきません」

アスランにはお分かりのはずでしょう?


「……あぁ」

とても痛いほどに…


陰鬱な気持ちになっていると隣からその場に似つかわしくない笑い声が聞こえてきた。

「?」

アスランは訝しく思い、ラクスに声をかけようとするが…。

「ラク…」

「━━と、言うのは建前でぇ♪」


………。



「はあっ!??」

俺の間の抜けた反応に悪びれもせずに、ラクスは悪戯が成功した子供のように邪気のない笑顔を向ける。

「~~~っ、ラクス!///」

口許を手で覆い隠して笑いを堪える姿は年相応の少女に見えた。


やがて目尻に溜まった涙を人差し指で拭うと、含み笑いしながらも話してくれた。

「それに━━もう、わたくしがすべき事はないのだと思っておりますの」



するべき事がない?

そんなことはない、彼女は今や昏迷の中にいるプラントの希望の象徴。

一筋の光。


ラクスがプラントにいるといないのとでは天と地ほども違う。

それほどに彼女は必要とされている。

自分と違って…


「それに、いままで通りという訳にも参りませんでしょう?」


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