Jigsaw puzzle《完結》
俺は目の前の光景が信じられなかった。
「おばさん?!!やめて下さい!!」
状況はよく分からなかったが自分が何をすべきかは直ぐに分かった。
蹲るキラからカリダを離そうとアスランは彼女を羽交い締めにする。
「放して!!この子は、こうでもしないと言うこと効かないのよッ!?」
興奮して叫ぶカリダは、いつも見る穏やかな彼女からは想像もつかないくらい取り乱していた。
「落ち着いて下さい!」
カリダを宥めながら、アスランは何故こんな状況になったのか考えていた。
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あの後、会長との気まずい空気を早く終わらせたくて、俺は黙々と目の前の仕事を片付けていた。
そうしていたら予定よりも早く済んだみたいで、クライン会長からも了承も得て、俺はキラの家へ向かった。
久しぶりにおじさんやおばさんに会いたかったし、キラとも少し話をしようと思っていた。
今までは、キラが話してくれるまで待とうと思って何も聞かなかったけれど…
もうこれ以上は待てない
。
『━━━聞けないの!』
「……おばさん?」
ヤマト家の玄関前に立つとキラの母親カリダの叱りつける声が外にまで聞こえてきた。
とっさにドアを開け、カリダの姿を探す。
「やっ!…母さッ、っ…痛いよ」
「キラッ!?」
その声を聞くや否や、俺は迷わず二階にあるキラの部屋へと向かい
そこであの光景を目撃した。
「おばさん!落ち着いて!」
「放しなさいッ!!」
尚も暴れるカリダをアスランはしっかり抑える。
「つぅッ!」
その時に彼女の爪が俺の頬を引っ掻いて赤い線を作ったが、今はそんな事気にしていられない。
「…ア、スラン?…どうして……」
蹲っていたキラが唖然とこちらを見上げてくる。
そのキラに視線を向ける余裕すら今のアスランにはなかった。
「ァス!…アスラン!!やめて、悪いのは僕なの!僕が悪いんだから!!」
「ぇ……キラ?」
自分の足元に縋りついて「やめて!」と必死に懇願するキラ。
予想外のキラの行動に俺は困惑した。
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