Jigsaw puzzle《完結》
あの後、頃合いを見てレノアがパトリックを宥めに入ったことで朝のキラ喧嘩は終わりを迎えた。
その後の朝食の場でも小さな論争が起きたが、それはキラがアスランを無理矢理学校に引っ張って行った事で何事もなく終わりを告げる。
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「じゃあ、キラ。気をつけて帰るんだぞ」
「うん、分かってる。アスランも生徒会のお仕事、頑張ってね」
廊下で軽く別れの挨拶を交わして、互いに自分達のクラスへと向かう。
「僕って嫌な奴…」
遠くなるアスランの背中を見つめてポツリと零れた。
アスランは全然悪くないのに……
「おはよう」
「おっはよう!」
近づくにつれ賑やかな声が聞こえてくる教室に入ると、自分にも明るい元気な声が掛けられた。
「あっ、おはよぉ~。キラ!」
「おはよう、キラ」
キラも笑って手を振り、挨拶をした二人の少女のもとへ小走りで向かって行く。
「おはよう。ミリィ、フレイ」
挨拶を返すと、椅子に座っている赤髪の美少女・フレイが頬杖をつきながらニコニコと含みのある笑顔で話し掛けてきた。
「今日は珍しく彼氏と一緒のご登校だったのねぇ~vV」
え?と一瞬、フレイの言っている事にキラは首を傾げる。
「…そんなに珍しい…かな?」
「ん~、そうねぇ、一週間くらいは一緒に登下校してるの見てないと思うわよ」
そうよ!と隣にいた明るい茶髪の元気な少女・ミリアリアは少し膨れっ面になる。
「キラったら最近はザラ君どころか、私たちとだって一緒に帰らなくなったじゃない」
「ごっ、ごめん…。図書館で勉強したかったから」
「勉強? あぁ、もしかして今度のテストの?」
「あ、うん…」と小さく返事をしながら、静かに二人の斜め前にある自分の席に据わる。
「今度の…って、テスト期間はまだまだ先じゃない。それにキラなら、いつも十位以内に入ってるし━━」
「……それじゃ駄目なの」
「キラ…」
「……」
決まりが悪くなったのか俯いて黙るキラ。
そんなキラに、フレイもミリアリアも顔を見合わせる。
高校に入ってから友達になった自分たちがキラのこんな表情に気づいたのは、仲良くなって暫くした頃だった。
何度も聞いてみたが、何時も「大丈夫だよ、なんでもない」と言って何も話してくれない。
ここはもう幼馴染みで彼氏だと言うアスランに任せようと思っていたのだが…
どうやら、この様子では彼にも話していないようだ。
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