Jigsaw puzzle《完結》
あれから直ぐ制服に着替えてから、ザラ家でキラが使っている部屋(今ではキラ専用)を出て長い階段を下りると、そこには何処までも続く長い廊下と幾つもの扉・扉・扉。
しかもその一つ一つの部屋が普通の家の倍近い広さがある。
子供の頃はこの広い屋敷がアスランとの遊び場だった。
特にかくれんぼをするには最適だったのをよく覚えている。
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一番奥の扉の前まで来ると、立っていたメイドさん達が僕とアスランに「おはようございます」とお辞儀して扉を開けてくれた。
開かれたその部屋には大きな窓から溢れる暖かな陽光と焼きたてのパンのいい香りが漂い、落ち着いたクラシックがかかっている。
テーブル上には僕とアスランの分を含め、既に四人分の朝食が用意されて、もう二つの前には厳格な顔つきの男の人と柔らかな面差しにアスランと同じ髪と瞳の色を持った女の人が先に席についていた。
この二人がアスランのご両親、パトリックおじさまとレノアおばさま。
キラも幼い頃から実の娘のように可愛がって貰っている。
優しい二人が大好きだった。
「おはようございます、おじさま、おばさま」
「おぉ!キラくん。おはよう、本当に久しぶりだな」
「まぁ!キラちゃん。
いらっしゃい。すっかり大人っぽくなったわね」
キラの存在に気づいたパトリックとレノアは条件反射のように椅子から立ち上がり笑顔で迎えてくれる。
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