Jigsaw puzzle《完結》







━━いつも通りの時間。

聞きなれた目覚まし時計の音で目を覚ます。


既に着なれた制服に袖を通し、背中まである髪を軽く纏めてから、ゆっくりダイニングへと向かう。

だが、そこに広がっていたのは何時もの光景ではなかった。



『おはよう、キラ』


『あら、今朝は随分お寝坊さんなのね、キラ』




━━え…?



そこには久しく見ていない━━幼い時のような穏やかな顔をした両親の姿があった。


『キラ?』

『どうしたの?キラ』

突っ立っている自分を心配気に見てくる父と顔に手をあてて首を傾げる母に懐かしさが込み上げてくる。

徐々に視界が歪んできた。

『えっ?…ぁ…別に…』

目頭が熱くなってくる。

涙を堪えるのに必死でろくな答えが返せない。


『もぉ~!ほぉら、早く食べないと学校に遅刻しちゃうわよぉ』

そんな娘の態度に仕方ないわね、とでも言うように母━━カリダはキラの背中を優しく押す。

『…うん』

まだ信じられなくて、動揺しながらもキラは促されるまま素直に椅子に据わった。


『そうだ、キラ』

『…な…に?…父さん』

席につくと、ここ何ヵ月も会話をした記憶のない父━━ハルマがにこやかに話しかけてきた。

キラは少し緊張したが、なんとか応えた。


『明日は父さん仕事が休みなんだ。だから、キラが行きたがってた遊園地に皆で行こうか?』


『え……。本当に?』

一瞬、父の言っていること理解できなかった。


『あらぁ~。良かったわね、キラ』

『…うっ、うんっ!』


夢じゃない…?




夢じゃないだ…



……やっと





━━やっと!



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