Jigsaw puzzle《完結》







いつからだったのかな?



あの声が聞こえるようになったのは…



『明日にしてくれないか…疲れてるんだ』


『そう言って逃げるの?
いつもそうじゃない!
あなた、私の事なんて、もう何とも思ってないんでしょう!!』



『落ち着け…。キラが起きるだろう』


『……何よ、そんな事言って。あの子の事だって、いつも私任せな癖に!
こんな時だけ父親面しないでよ!!』


『仕方ないだろ━━』




******


『━━!!』


「………っ」



その口論は、二階にいる自分の部屋まで聞こえてきた。


深夜十二時ごろに父さんが帰って来ると同時に始まる、この夫婦喧嘩は、僕が中学二年の頃から始まり、高校生になった今でも続いている。


何が原因なのかは分からない。
気がついた時にはもう毎日のように言い争いをしていた。

時々聞こえてくる自分の名前に、今度は自分の事で両親が喧嘩しているのかと思うと胸が痛くなった。



『じゃあ、俺だって言わせて貰うが!』




━━もうやめて……



『それはあなたのほうでしょ!!』



━━喧嘩しないで……



そんな二人の声が聞きたくなくて、僕はよく幼馴染みの家に逃げた。


彼━━アスランは何も聞かずに傍にいてくれた。


隣にいても良いと言ってくれた。




…アスランとは幼馴染みで、中学の三年間同じクラスという事もあってか、自然とそういう関係になった。



それでも両親の事は話さなかった。


自分の家庭のことで心配を懸けたくないというのもあったが…


それ以上に、たまにしか帰ってこないアスランのご両親の仲睦まじい姿を見ると、とても言い出せなかった。


とっても羨ましくて…



とっても憎かった…



仲の良いパトリックさんとレノアさんが…


そんな両親を持ったアスランが…




何でも出来る、アスランが!



でも…

本当に一番憎いのは、そんな逆恨みをしている自分…。



醜い感情を抱く━━僕自身。



いくら手で耳を塞ごうとも、違う場所へ逃げようと聞こえてくる両親の
“あの声”




━━皆……嫌い…








━━大っ嫌い!!!




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