Despair of truth
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━L4・プラント
(アーモリーワン)
二人の議員に先導されて着いた建物の部屋には若い黒髪の男、ギルバート・デュランダル議長の姿があった。
議長は数人の秘書や部下、護衛と思しき者たちと話をしていたが、こちらに気づくと、笑みを浮かべた。
「やぁ、これは姫。
遠路御越し頂き、申し訳ありません」
「…いや、議長にも御多忙のところ御時間を頂き、有り難く思う」
二人の代表は軽く握手を交わす。
直ぐにデュランダル議長に椅子を勧められ、当たり障りのない話に返答をしながら彼女は浅く腰を掛けた。
「…で、この情勢下、代表が御忍びで…それも火急な御用件とは、一体どうしたことでしょうか?
我が方の大使の伝えるところでは、だいぶ複雑難件の御相談……とか」
「……私にはそう複雑とも思えぬのだがな」
明らかに機嫌が悪いと言いたげに、ムスッとした表情で会話を続けるカガリ。
それでは駄目なのだ。
国の代表同士の会談は唯の話し合いではない。
相手に悟られぬよう、感情を表に出さず、互いの腹を探り合う…
それはオーブの中でも同じこと。
カガリは代表としても、一人の為政者としても、まだまだ幼い。
そしてそれを支え、教えていくのは護衛の俺ではなく、同じ立場にいる人間。
━━そう“彼女”のような…
だが、カガリは彼女と違い部下に恵まれず、新たな首長の座に就いたのは己が保身を第一と考え、私腹を肥やす者たちばかり……
カガリには自らそれを学ぶしか、もう術は残されていないのだ。
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