Despair of truth





******



C.E.73年10月2日.


オーブ連合首長国
(アスハ邸)





「おはよう、アスラン。
早いんだな」

「おはよう、カガリ。俺もさっき起きたばかりだよ」

横に控えていたメイドに朝食を注文して、彼女は俺が座っている斜め前に座り、一息つくように小さく息をはいた。


 昨日の行政府での閣議も長引いているみたいだったからな…

 先の戦争が締結してオーブの代表首長となったのは、弱冠十八歳にしてアスハ家の現当主でもある少女━━カガリ・ユラ・アスハ。

 彼女の父親は『オーブの獅子』と呼ばれ、尊敬と畏怖で各国からも一目おかれていた、かつての代表ウズミ・ナラ・アスハ。


 そのウズミ代表は地球軍の侵攻で国を━━引いては世界の平和を護るため、オーブと当時の首長たちと共に逝ってしまった…

 そして停戦となり、新たに決まった首長達は皆、戦争を停戦に導いて英雄視されているカガリを代表首長にと強く推した。

 お飾りとして祭り上げる事を思いついたのだ。
 その事は、彼女も十分承知の上で代表の座に就いた。

これから待ち受けているであろう茨の道のことも…



 だが、普段は内閣府官邸で寝起きをしているカガリも、今日は珍しくアスハ邸に帰っていた。

 それというのも今日は、これからプラントの議長、ギルバート・デュランダル氏との極秘会談を控えているからだ。

 いつもは内閣府の与えられている部屋を使っている自分も、護衛として彼女とアスハの本邸に泊まり、そのまま共にプラントのアーモリーワンに向かう手筈になっている。



6/40ページ
スキ