Despair of truth
自分の思考に耽っていた彼女は、人が近づく気配に気付かずに肩を揺らした。
「あ……ギルバートさん」
そこに立っていたのはプラントの現トップ。
ギルバート・デュランダル最高評議会議長だった。
『もう、良いのかね?』
デュランダルの問いに彼女は、暫く俯いて目を閉じた。
…そして何かを決意した眼差しで彼を見つめ、はっきりと返事をした。
「……はい」
デュランダルは琥珀の瞳で彼女の紫の双眸を見据えた。
「……本当に、…これで良いのだね?」
「━━はい」
改めて確認を込めた問いに少女━━キラは、今度は躊躇わずに凛とした声で返す。
それでも…
その無垢で澄んだ瞳には少しの哀しみが潜んでいることをデュランダルは見抜いていた。
キラがどんな想いでこの決断を下したか、知っているから
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彼女をエスコートしながら屋敷を後にする。
待機させておいた迎えの車にキラを乗せてから、私は一度だけ後ろを振り返った。
声には出さず『ありがとう』と感謝を述べ、目礼をする。
「…ギルバートさん?」
「あぁ、すまない」
その邸宅の元の持ち主の名は━━『パトリック・ザラ』
キラにとって、もう一人の義父と呼べる人。
そして、たった一人愛した人の父親。
━━キラにとっての帰るべき唯一の場所。
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