Despair of truth




━━プラント
(ディセンベル市)



プラントの人工的な空を宵闇が支配し、寄り添うように月が昇る。

殆んどの人や街が眠りにつく。

 そんな時間帯に、今では誰も住んでいない筈の邸宅に明かりが灯っていた。



そこは前の持ち主の事や最近プラントの評議会議長に就任した、ギルバート・デュランダル氏が買い取ったという事でも注目を集めていた邸宅だった。


その邸宅の窓から少女は夜空を見上げる。

 何の変哲もない空。
だが、少女はこの瞬間の空が大好きだった。


━━正確にはこの空の色が…


大切な彼の色彩の一部を型どるものだから。


「……アスラン」

少女は大切な彼の名を音に出した。

もう会うこともない人。ここにはもう帰って来ないかもしれない。

この家だって本当はもう必要ないって解っている


だって彼は…

彼は既に大切な人と共に、そこに居ることを選んでいるのだから

それでも、遺さずにはいられない。

だって、ここは過去(むかし)も現在(いま)も
そして未来(これから)もずっとずっと彼の家なのだから━━



「もう、良いのかね…?キラ」



「っ!」



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