Innocence《完結》



乱れた息を俺の肩で整えてからカガリは俺が持っている薔薇を優しく愛でている。

そんな彼女に俺は先ほどの『花言葉』の意味を聞いてみた。

「ところでカガリ、さっきの花言葉って…?」

「は?…もしかしてお前花言葉も知らないのか!?」

…馬鹿にしてるのか

「…俺だって花言葉ぐらいは知ってるさ」

言葉には出さなかったが、ラクスが小さく笑っていたので顔には不機嫌面が出ていたのかもしれない。

「??? じゃあ何が言いたいんだ?」

「それぞれの『色の意味』ですね」

さすがラクス。俺の顔色だけじゃなく言いたい事まで分かるのか。

いやいや!全部読まれても困るが…。

「…そうだ。赤い薔薇くらいなら俺も知っているが、ここにある色全ての意味は知らないからな」

「う~ん、確かに私も知らないなぁ。ラクスは知ってるのか?」

「はい、存じておりますわ。━━例えばこちらのダークピンクは『感謝』という意味があるのです」

(そうか、だからさっきラクスは贈り主は俺に悪意はないと言ったのか)

「それに赤薔薇の葉は『貴方の幸福を祈る』という意味なのです。ですから、きっとこの方は以前何らかの形でアスランにお世話になった方なのではないかと思うのですが…」

「心当たりはないのか?アスラン」


「そう言われてもな…」

そもそも俺がプラントに住んでいた間に顔と名前……はラクスの婚約者としては知られていたかもしれないが、生年月日……も軍の俺のデータベースを見れば簡単か。

だが今の俺の居場所までは分からない筈だ。

一体誰なんだ…。

俺の事を知っていて、世話をしたこともある。


『アスラン!』

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