Innocence《完結》



「え…じゃあ、まさか子供たちが!?」

あの幼い子供たちには薔薇は些か不似合いに感じた。
選んでもチューリップやひまわりぐらいじゃないのかとも思ったが、その考えはラクスに否定されたことで解決した。

「じゃあ…一体誰なんだ?」

そろそろ答えを教えて欲しいとラクスに尋ねたが彼女はこれにも静かに首を横に振るだけだった。

「わたくしにも分からないのです。先ほど届いて、アスラン宛てだということ以外は何も…」

「…そうか」


これは明らかに俺が“アスラン・ザラ”である事を知っているものの仕業。

この地━━オーブに亡命していることを知って俺を動揺させる為にこんな事を…。

「ですが、この方はアスランに悪意を持ってはいないようですわ」


「え…。何故、そう思うんだ?」

「あら、だって薔薇ですもの!」

「……ι」


頭が痛い…。

どうやら彼女の中では薔薇を贈った人=好意的な人の図式が出来上がっているようだ。

「では、アスランはお嫌いな方に薔薇を贈りますの?」

「いや、そもそも嫌いな人に花は贈らない━━」

「『花言葉』…だろ?」

「っ?!!」

突如聞こえた凛とした声は、体がずっしりと重くなると同時に脳に直接響いた。

首を少しだけ横に向ければそこには、いつの間にやら追いついたのか、カガリがアスランの首に手を回してもたれ掛かっていた。


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