Innocence《完結》




「ラクス…。貴女までわざわざ俺を迎えに?」

「だって、アスランったら本当に遅いんですもの。カガリさんにお迎えをお願い致しましたけれど、わたくしも心配になりまして…」


それで、わざわざここまで来たくれたと。

「すまない。君にもカガリにも心配かけてしまったようだな」

謝ればラクスは砂浜を散歩していた時と同じように無邪気に笑う。

「アスラン、今日はわたくしに謝ってばかりですわね」

「あ…、すまな━━。…そっ それよりその薔薇はどうしたんだ?」

また謝りそうになり、ごまかすように変えた話は、さっきから気になっていた色取りどりの薔薇の花束。

それはまるでラクスの為にあるかのように彼女にとてもよく似合っていた。

「あぁ、これはアスラン、貴方宛てですわ」

「俺…?」


予想外の答えに俺は首を捻りながら花束を受け取り添えてあったメッセージカードを読んで見る。


━━HAPPY
 BIRTHDAY━━

 Dear Athrun.


(誕生日?俺の…?)

「…あ!」

「ふふっ、やっとお分かりになりましたか?今日は10月29日、貴女がお生まれになった日ですわ、アスラン」


そうだ。そういえば今日は10月29日━━俺の誕生日だった。

成る程、それで子供たちの様子が可笑しかったり、カガリが「今日は俺が主役だ」と言っていたのか。
「それでこの花束はラクス、君が?」

彼女からのプレゼントがこの薔薇の花束がということなのだろうか。

そう言えば、彼女はいいえと首を横に振った。


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