Innocence《完結》



カガリの元気な声で切ったスタート。

途中まではカガリも奮闘していたが、今ではかなりの差がついてしまった。

当たり前だ。一応これでも(カガリ曰く)元軍人だし、今でも彼女のボディーガード的な事をやらせて貰って体を鍛えている。

筋トレが趣味という彼女も最近は忙しくて運動らしい運動もしていないようだし、この位の差は予想通りだ。


このまま断トツで勝っても大人気ないかと思ってゆっくり速度を落として歩き始めた。


『よ~し!じゃあ競争だ』

「………」

さっきのカガリの態度。いつも通りに振る舞っていたが、やっぱり顔には疲れの色が見えた。


…恐らくカガリも分かっているのだろう。

もうすぐ自分がオーブの新たな代表となることを
━━。


前代表、オーブの獅子ウズミ・ナラ・アスハの愛娘。
そして、先の大戦の英雄。

これだけ揃っていれば彼女が代表首長となるのは必然というもの。

カガリはここからが頑張り時だろう。

俺やラクスは亡命者。
助言は出来ても直接何かの手助けすることは立場上出来ない。



……恋人同士なのに、俺は彼女に何もしてやれない。

最後の闘いの前に約束した筈なのに。

『君は俺が守る』━━と


なのに……

「アスラン!」

「ぇあ……ラ、クス?」


数メートル先の暗闇の中から突然現れたなは、色取りどりの薔薇の花束を抱えたラクスだった。

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