Innocence《完結》
それというのも母上が昨日の夕食時から今日のシャトルに乗るまでの間、一つの話を延々と俺に話して聞かせているからだ。
親友だというカリダさんの話に始まり、おれと同い年の一人娘━━キラという子の話題になった。
そのキラは、今では珍しい一世代目のコーディネイターらしく、母も赤ん坊の頃に通信画面ごしに見た程度だそうだ。
すっごく可愛いかったの~vV…と母上が絶賛するぐらいだから本当に可愛いのだろう。
だが、そもそもコーディネイターという存在は総じて容姿は整っているのが当たり前だ。
そのように調整されて産まれてくるのだから。
カリダの娘なら私の娘も同然!と言っていたように、どうやら母上は自分の他に娘もほしかったみたいで、まだコーディネイターの出生率うんぬんが分かっていなかった俺は「妹ができるのですか?」と単純に聞いていた。
すると母上は困ったような顔で笑う。
俺は何だか分からないけど、その顔を見たら胸がチクリと痛んだ気がした。
…気がしたが、その後に母が痛みも吹っ飛ぶ、聞き捨てならない事を言ってのけた。
『でも、大丈夫っ!
キラちゃんがアスランのお嫁さんになってくれれば、自動的に可愛い娘が出来るんですものvV』
━━━と
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