Innocence《完結》




━━翌日、AM.10:32

シャトル内


「アスラン、何か飲み物でも━━クス…あらあら」

昨日の今日で、あまりに急な出来事にアスランも疲れているだろうから機内で軽い食事でも、と声をかけようと横を見るが…

そこには既にすやすやと寝息をたてて寝ているアスランの姿があった。

「やっぱり、この子も緊張していたのかしら…」

突然の事にも係わらず、そんな素振り等、全く見せていなかったアスラン。

自分の子がコーディネイターの中でも早熟なのはレノアも分かっていた。

分かってはいたが、レノアとしてはあまり面白くない。


アスランは物分かりが良過ぎるのだ。

そして、理解力も早く、無駄な事は一切やらない。

コーディネイターといえど、まだ四歳の子供。自我が芽生え、我が儘を言ってもいいはずなのに我が子には、それが全くと言っていいほど見受けられない。

だから、パトリックから一時的な月への移住の話を聞かされた時はチャンスだと思った。

コーディネイター以外の子たちと会わせて、アスランの世界を広げる為の。


それに月には運よく、親友のカリダがいた。

そして同い年の子供も

その子との出逢いがアスランをいい方向へ導ければと思っていたが…


こんな所で自分の息子もやはり、まだ子供なんだなと実感出来るなんて

「やっぱり、アスランも子供だったのね。
そうよね、まだ四歳だもの…」

以外な所で息子の新たな一面を見つけたレノアは嬉しくなって、暫くそのあどけない寝顔見つめていた。


「………」



違いますよ、母上!!

そう叫びたいのを我慢して俺は月行きのシャトルの中、母の横でひたすら寝たふりをしていた。



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