whereabouts

傷に宛行った白いハンカチが見る見るうちに赤く染まっていく。

それと同時に自分の中の何かが急速に冷えていくのが分かった。


こんな事、考えても見なかった。だって、ただひたすら帰ることだけを考えていたから。


いま思えば、有り得ない事ではなかった。

でも世界は、宇宙はもっと広いのだと思っていた。

過去の、しかも何百とあるコロニーの中の一つで偶然にも出逢うなんて……。

そしてその偶然で出逢った相手が選りにも選って━━


「あんたかよ。キラ・ヤマト」

「━━え…?」

不思議そうに俺を見上げてくるキラ・ヤマト。

その顔は、俺が知っているアイツとは似ても似つかない。

亜麻色の髪と紫の瞳は変わらないのに、その顔は怜悧そうな面差しではなく。
どこにでも居る年相応の少女の顔だった。

「ぇ?キラの知り合い?」

「…ううん、知らない」

名前を呼んだからてっきり知り合いだと思ったのか。隣にいた少女は訝しげに俺を見上げてきた。


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