いつまでも君を
出会い頭の気の高ぶったカガリの一発を貰ったせいでアークエンジェル内での先ほどの会話に戻る。
「まぁ、ヘリオポリスの学生が次に会ったらMSのパイロットだったので、驚いてあんな行動に出たのではないかと…」
カガリや自分の正体がこんなところでばれるわけにはいかない。彼女とはヘリオポリスで少し会っただけの詳しく知らない者同士で貫くしかない。
「艦長、今はあの少女のことより今後の艦の進路です。どうするおつもりですか、あのレジスタンスたちのことを」
「えぇ、そうね……。大尉はどう思われます?」
「俺?ん~、そうだなぁ…」
「……」
どうやら自分たちの事はこれ以上詮索されないようだ。艦長たちはあのレジスタンスと今後手を組むのかどうか、それは彼等が決めること、パイロットの自分は他のやるべきことをやろう。
「ラミアス艦長、僕はストライクの整備に行きたいのですが…宜しいでしょうか?」
「あぁそうね、申し訳ないけどお願いね」
「はい」
オーブの避難民を地上に降ろせたと安心していたのもつかの間。今度はその国の代表の娘。
地球降下したら適当な場所でアークエンジェルから除隊しようと思っていたが……。
たまたま自分のミスでザフトの勢力圏に落ち、たまたまそこにヘリオポリスで別れたはずの姉に会い、たまたまその姉がレジスタンスに入っていたというのか!
いや、もしやこれはハウメアの采配か?
そう思わねばならない程の偶然が重なり過ぎてキラは頭を抱えたくなった。
* * * *
「くそ!くそくそくそっ!!」
「カガリ、言葉が悪いですよ」
「うるさい!!これが言わずにいられるか!」
護衛のキサカは相変わらずうるさい事ばかり言ってくる。
「何でキラが
ヘリオポリスからシェルターで何とかオーブ本土まで帰ってから、そこで見たことやキラの事を父に聞いてみたが、知らぬ存ぜぬ。キラともヘリオポリス崩壊から連絡が取れず、未だ行方知れずだと言う。
中立のはずのオーブが裏で地球軍に手を貸しプラントを攻撃する兵器開発に関わっている。父のその態度に腹が立って国のトップがそんな卑怯なことをするのかと言えば『お前はまだ世界を知らん!』と一喝された。
その言葉に更に苛立って、だったら見てきてやるッ!!と国を飛び出し今に至るのだが。
キラのことを心配してない訳じゃない。だが私はキラほど賢くないし、情報収集もそれほど得意じゃない。何よりただ待っているだけというのが何よりも苦手だ。
それに、世界を見てきてやる!と啖呵を切ったのに結局は父の手配した場所で護衛に守られている。
「……くそッ」
こんな自分が情けない……
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