いつまでも君を
遠ざかっていくイージスをキラはただ眺めていた。
(ラクス…)
数分前に別れた彼女…いや、彼女たちの姿を思い出してため息が出そうになったが、何とか飲み込んだ。
フラガ大尉やアークエンジェルとも未だ通信は繋がっているのだ。迂闊な言葉で自分の首を絞めてしまうことにだってなりかねないのだから。
「上手く行ったな、坊主」
「フラガ大尉…えぇ、なんとか…」
「ん、どうした?」
「いいえ、僕もこの作戦が上手くいくか少し不安でしたから…」
そんなキラの言葉を信じてくれたのかフラガは「大したもんだったぜ、役者に向いてるかもな!」と軽快な褒め言葉でキラの緊張を解そうとしてくれた。
いや、自分は役者になど向いていない。本当は次期アスハ家当主のカガリを影からサポートするため汚い仕事を平然とこなしていかなければならないのに……。
(こんなことくらいで罪悪感を抱くなんて…)
*****
「あの子を人質にして先遣隊を逃がす!?」
「何を馬鹿げたことをッ!!!」
マリューとナタルは互いに正反対の感情を露にしていた。
「フラガ大尉!大尉はこんな作戦に賛同されるのですか!」
すごい剣幕で詰め寄るナタルにムウは、まぁまぁと宥め全容を語る。
ザフトより先に先遣隊と合流出来れば、ザフトの位置を確認後大事なければ民間人を先遣隊の一艦に移し、先にその場を離脱して貰う。
更に第8艦隊と合流後はオーブ政府または軍に予め連絡をつけ、救命艇でオーブの民間人を地球に降下させる。
アークエンジェルはその間ザフトに見つかれば、時間稼ぎのためにラクス・クラインを艦に保護していることを告げ、互いに硬直状態を保ち。ザフトの司令官がしびれを切らす前にキラがラクスをストライク単機で逃がして帰す。
もちろんムウにはメビウスで待機して貰い、相手のモビルスーツが発進と同時に出て貰う。
ザフトが先に先遣隊と戦っていた場合もあまり変わりはない。
キラとムウで間に入り、直ぐにラクスを保護していることを告げるだけだ。
「フラガ大尉、簡単に仰いますが彼女のことをザフトに話してもあっちがその事を信じるとはとうてい思えません」
最悪、自分たちの命惜しさの苦し紛れの作戦だとザフト軍を逆上させてしまうことだってあるのだ。
「それは大丈夫だと思います」
「…何故そうだと言いきれる」
キラはラクスが現議長の娘というだけでなく、プラントで有名なアイドル歌手で国民に愛されていることを話した。
ついでに水の補給のために寄ったユニウスセブンで撃墜したジンは、恐らく追悼慰霊の視察に出て行方不明の彼女の捜索をしていたのだろうことを話せば二人は渋々だが納得してくれた。
******
━━そして面白いほどにキラの提案した作戦は上手く行った。
その事をムウとマリュー、最後までこの作戦に渋っていたナタルまでもがキラを褒めてくれた。
だがキラの心に引っかかっていたのはラクスが言った言葉。
『アスラン・ザラは、いずれ
.