whereabouts



「…はぁー」

ベンチにただ据わっていても落ち着かないのでシンは取り敢えず、また街をぶらぶらする事にした。

(どうする…。此処から逃げるにしてもIDを持ってないし……。一番いいのは、これから起こるザフトの襲撃を待って、ヘリオポリスの人達に紛れてシェルターに避難することだけど…)


問題はその後だ。
オーブ本国には俺がいる。

この世界の、まだ家族と一緒に平和に暮らしていた過去の俺が。

身元を確認されたら、余計ややこしくなるし下手したら拘束されるかもしれない。

(あぁー!クソッ、どうすりゃ良いんだよぉ!)

いい解決策も浮かばずイライラしてシンは思わず足元にあった小石を蹴り飛ばす。

「きゃあ!」

「あっ…」

━━と、蹴った石ころは運悪くエレカー待ちをしていた一人の少女に当たってしまった。

「キラッ!?大丈夫!」

「ぅ、うん……」

「大丈夫…」と、か細い声で答えるキラと呼ばれた少女。
だがその額からゆっくり顔を伝う赤いモノは。

「血ィ!?ちょっと血が出てるじゃない。傷口見せて!!」

(ぇええっ?!!)

これには流石のシンも焦って少女に近寄る。

「ゴッ、ゴメン!怪我大丈夫か!?」

「ぅ、うん…」

「…ッ!!? あ、あんた…」

俺を見上げたその顔は、見覚えが有り過ぎる程に知っている顔だった。


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