ニ周年記念小説




「は? あぁ、握手だ」

「……」


何も言わないキラ。

……もしかして握手するのが苦手なのか?

それとも初対面での握手は馴れ馴れしかったのか!?

俺が勝手に悶々と考えていてもキラは気にする素振りを見せず、独り言のように淡々と噛み合わない会話(?)を返してきた。

「握手……、挨拶や親愛の情を表すために手を握りあうこと。仲直り、協力…」


…………は?

シンが声も出ず、唖然としていると、カリダさんが息子をたしなめていた。

「ごめんね、シンくん。この子、昔から入院生活が長かったから、こういうこと知識だけでしか知らないのよ」

よく分からないが、そういうものなのか?

両親と妹はその話に納得して「キラくんは博識なのね」と彼を褒めていた。

俺としてはそんな頭でっかちタイプは苦手な部類で、正直あんまり仲良くしたくなかった。

今さらになって自分から声をかけたことを悔やんだ。


******

━━その後、キラと遊んでこいと言われて……

あれは思い出したくもない。

なんで俺、こんな近所の公園で無言で何時間もいなきゃいけない訳?

我慢大会じゃあるまいし、しかも、隣に据わっているコイツは余裕…ってか、普通にしてるだけなんだろうけどな……


頻りに辺りをきょろきょろと見回していたし。

こんな有り触れた公園の何処が珍しいんだ?と呆れていたが、ふとカリダさんの言葉を思い出す。

『入院生活が長かったから━…』

「……」

そういえばそんな事言ってたっけ……でも。


「……だから、何なんだってんだよ」

何だか心の中がもやもやしてきた。


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