whereabouts
「そりゃー、こんな状態じゃな……」
条件はザフトも一緒だけど、いつまでもこんなとこにいる訳にいかない。
そんな時、下の方から車のエンジン音が聞こえてきた。トール達が帰って来たようだ。
「キラ、トール達が戻ったみたいだから一旦下りようぜ」
「はい……あの」
「ん?どうかしたか…?」
「その…僕たち、これからどうなるんでしょう…。ぁ、ごめんなさい!そんなことアスカさんだって分かるわけないのに…」
「…別にいいさ」
別にいいけど、俺だってこの先のアンタの事は知らない。
アークエンジェルが大戦を生き抜くのは知っている。ラミアス艦長やミリアリアさん、キラが生き残るのも知ってる。
でも、それだけだ。
その間に何があってアンタがあんなになったのか、俺は知らない。
…知らなくてもいい。
父さん、母さん、…マユが殺されたことに変わりはない。
結果が全てだから、そこに至った経緯なんて知ったって意味がない。
だから俺は何も話さない。
…何も知らないから━━…
*******
「君、コーディネイターだろ?」
知らないからなるべく関わらないようにしようと思っていた。
「貴女が乗ってくれないと大変なことになるわ」
思っていた、……けど!
「君は出来るだけの力を持っているだろう?だったら出来ることをやれよ」
「…あんた、自分もコーディネイターだからって、本気で戦ってないんでしょッ!!」
だからって、ただの民間人の女の子にここまですることないだろ!!
……何なんだよ、これはッ!
寄ってたかって一人の子供を…
キラがコーディネイターってだけで、偶々モビルスーツが操縦出来たってだけで……ッ!!
よく見ろよ!
こいつ泣いてんだろうが!
戦闘が怖い。戦うのが嫌だって、震えてるじゃねえか!!
誰か…気づいてやれよ!抱きしき締めてやれよ…。
大丈夫だって言って、ごめんなって謝って、力いっぱい抱いて、涙を何度も拭って安心させてあげろよ。
お前は一人じゃないんだって、頭優しく撫でて……帰ってきたら、ゆっくり寝かせてやろうぜ?
問題があるとすれば……。
何で、それを俺が全部やってんだ!ってことだろうが…。
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