whereabouts
「ミリアリア・ハウ…」
そうだ!ミリアリアさんだった。
「……キラ…ヤマト」
思い出せなかった事が漸く分かり一人スッキリしていた俺に横からキラが「アスカさん、名前名前」と俺を責っ付く。
前を見れば、アークエンジェルの艦長が銃を俺の方に突きつけて早く言えと睨んでいた。
「…シン・アスカ」
しぶしぶ名前を言うと彼女は厳しかった目を少しだけ和らげた。
「私はマリュー・ラミアス、地球連合軍の将校です。申し訳ないけど、貴方たちをこのまま解散させる訳にはいかなくなりました」
それを聞いたとたん、ぇえええ!!?と一同から驚愕の声が上がる。
恐らくこの状況もどうにかなると全員が楽観的に考えていたのだろう。
「事情はどうあれ、軍の重要機密を見てしまった貴方がたは然るべき所と連絡が取れ、処置が決定するまで私と行動を共にして頂かざるを得ません」
「そんな…!」
「冗談じゃねえよ!何だよ、そりゃあ!!」
艦長━━マリュー・ラミアスさんの言葉に再び一同から不満の声が上がる。
キラとミリアリアさんが互いに手を取って不安そうにしているその横で、俺はそんな皆の様子を冷静に観察していた。
自分でもこんなに落ち着いて状況分析をしているのが不思議なぐらいだった。
だって数年前の俺ならコイツらと一緒になって抗議していただろうから。
ラミアスさんが皆を黙らせる為にした威嚇射撃も一人だけ動じなかった為か怪訝な顔で見られたが、それだけで終わった。
あの人もそれ所じゃないんだろうな。
この場に生き残っている地球軍はこの人だけだし、何とかしようと必死なのかもしれない。
*****
そうして片腕を負傷して自由に動けない彼女に代わり、男組はNo.5のトレーラーを運んで来るように言われ、キラは地球軍との通信役を頼まれた。
俺はトレーラーを運んで来るのに男四人もいらないだろうと半ば無理矢理こっちに残ってキラの通信作業の様子を見ていた。
「地球軍、応答願います!地球軍、応答願います!……駄目…みたいです」
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