whereabouts
どうやら神さまは、まだ俺をこの時代から帰す気はないらしい…。
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「一人ずつ名前を…」
俺達に銃を向けて名乗れと言うこの人。
(…確か、アークエンジェルの艦長…だよな)
「サイ・アーガイル…」
「…カズイ・バスカーク」
(今の俺には確実に疫病神が憑いてるかもな…)
そう思わせる程の不幸の連続だった…。
キラ・ヤマトとアスハを連れてまだシェルターがあるかも知れないという工場区に走った俺達三人。
だが、そこで見たものは━━…。
「地球軍の新型機動兵器…。っ!お父さまの裏切り者ぉー!!!!」
実際に見たのは初めてだった。
インパルスやデスティニー、新型の原点とも言われている機体。
アカデミーでは幾度となくMS工学の授業でこの名が出てきた。
「泣いてちゃ駄目だよ!ほら走って!アスカさん、こっちです」
「あ、あぁ…」
キラ・ヤマトは泣き崩れるアスハの手を強引に引いて避難シェルターまで走り、一人分しか空きがないというシェルターに迷わずアスハを押し込んだ。
(意外にしっかりしてんだな…。それにお人好しだし)
さっきまでのドジッ娘話は本当か?と思わせる俊敏さ…。
まぁ、コーディネイターだし。
一人だけでもとナチュラルのアスハを先に入れたのだって納得出来るけど。
普通は自分が先に逃げるだろ?
命が掛かってるだから当然だろう。
それをコイツは躊躇いもせずに…。
「アスカさん、あそこの37シェルターまで走れますか」
キラが指差したのはさっき走ったキャットウォークの反対側、左ブロックの建物。
アスハを押し込んだシェルターの中にいた人が言ってた場所か…。
「…当たり前だろう」
俺はコーディネイターで男で軍人で、しかも紅服なんだぞ。
それに、コイツを放って置くと俺まで先に無理矢理シェルターに押し込まれそうだしな。
危なっかしくて一人にしておけるかよ。
その台詞を言葉に出すことはしなかったが、キラ・ヤマトには大丈夫だという事は伝わったみたいだった。
一つ頷いてから俺達は新たなシェルター目指して再び走り出す。
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