whereabouts



ヘリオポリスを激しい爆音と揺れが襲ったのは、そんな思いを廻らせた直後だった。

「あぁー!!?」

「きゃあ!」

「隕石、か?」

(しまった!!!)

俺はこの時ようやくザフトの襲撃を思い出した。

こんな事ならちゃんとアカデミーの授業を聞いておくんだったと今更ながら後悔した。

「とにかく外に出よう」

この中で一番年上のサイと呼ばれていた少年が冷静に皆を誘導してエレベーターまで移動した。

もちろんアイツも少し後ろからついて来ていた。

(結局アンタは何しに来たんだよ)

ちらちら様子を伺っているとアイツは「まさか…」「いや、でもそんな筈は…」等とぶつぶつとでかい独り言を言っていた。

「…?」

エレベーター前には他の教授だがモルゲンレーテの従業員だがも何人かいた、が一向にエレベーターが来る気配はない。

待っている間にも激しい揺れは続いた。
まるで近くで戦闘でもしているような……。

(って!もしかして奪取するMSってこの近くにあるのか!?)

作戦が起きる時間も場所も覚えていない。

そんな自分は、もはやこれから起きる事を何も知らないヘリオポリスの住人と何も変わらなかった。

(くそ!帰ったら絶対調べといてやる)

後の祭りだという事はシンにも分かっているけれど、やらないよりはいいだろうと思うことにした。


「な、何?なんなの…」

度重なる揺れと停電が起きた事で一気に不安に襲われミリィさんはトールに支えられながら震えていた。

ここでもサイが機転を利かせて非常階段の扉を開く。
階段には人の列が途切れることなく下から上へと続いていた。

「どうしたんです!」

避難している人達に向かって尋ねたが、如何にも面倒臭いといった顔をした中年の男に「知らんよ」と突っぱねられた。

その態度に少しムッときたシンだったが後ろにいた人がコロニー内にザフトのMSが入ってきて攻撃していると教えてくれた。

(もう選んでる時間なんてねえ。このまま避難するか)

不本意だがキラ・ヤマト達と一緒に避難することを決めた直後、又しても事件は起きた。


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