whereabouts



なんか調子狂うな。

本当は同姓同名の顔がよく似た赤の他人じゃないのかって疑ってしまう。

(……。そーいやぁ俺、顔とキラって名前だけであの“キラ・ヤマト”だって決め付けてたけど…)

今更だが不安になってくる。

「とりあえず教授のラボに行こうぜ。血、止まらねぇみてーだし」

「そうね。キラ立てる?」

「うん…ごめんね、ミリィ、トール」

謝る少女はやっぱりシンが知っている“キラ・ヤマト”と同一人物には見えなかった。

だからか━…

「俺も一緒に行っていいか?」

出た言葉に自分でも驚いて少し呆気に取られてた。

だが俺の同行を許したのは以外にも怪我を負わされたキラ・ヤマトだった。

調度来たエレカーの助手席に座り、目的地に着くまで後ろに座る彼女をチラッと何度か見た。

貧血でも起こしたのかミリィと呼んでいた少女の肩にもたれるようにしている。

「……っ」

それを見て俺は罪悪感に駆られた。

いくらあの大嫌いで憎い奴でもあんな風に弱った姿を見せられたら良心だって疼いてしまう。

しかも、その原因は自分にあるわけだし…。


(別にあいつの心配なんてするもんか。ただ、このままじゃ後味が悪いだけだ…。それだけだ…)

自分に言い聞かせるように何度も何度も繰り返す。

その念頭には、先ほどまで必死に考えていたヘリオポリス崩壊の事など、一カケラも入る隙はなかった。


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