夢の始まり〈中篇〉



一世一代の愛の告白をしてどの位時間がたったのか分からない。

一時間だろうか、……三十分?それともまだ一分も経っていないのかも知れない。

「………」

何も言わないキラに、頭には嫌な想像ばかりが先走る。

「………ッ!」

そして、とうとう沈黙に耐えきれなくなったシンが口を開いた。

「キラさん、俺「…何で?」え…」

「だ、だって僕、女の子らしくないしガサツだし、フレイやミリィみたいに可愛くないし、それにそれに趣味ハッキングだし部屋汚いし僕って言ってるし、目見えないし足動かないし、えっと…えっとそれから……」

いきなり告白されて頭が混乱しているのか、自分の短所を一気に捲し立てるキラ。


女の子らしくない?ガサツ?…どこが?
シンから見れば、キラは十分女の子らしいし、気にするほどガサツではない。

きっとそれは女の子が気になる程度のレベルなのだろう。

それに、頬を赤く染めながら思いつく限りの自分のコンプレックスを言うキラは、シン的には凄く可愛いと思うのだが。

それを素直に言葉に出せば、キラは更に顔を赤くさせ、でもでも!とその後も弱々しい抵抗をみせるのだが、数分も経たないうちに出尽くしたのか、また無言になった。


「キラさん。キラさんは…俺が嫌い……ですか?」

「えっ?!ちっ違うよ!嫌い……じゃないよ」

焦って否定してくるキラにシンは少しホッとした。
嫌いと言われるにしても即答されたら、流石に立ち直れないほどショックだから。

「でも…」

続けるキラにシンは黙って聞く。
本当はシンだって、こんなにいきなり告白する気はなかった。

でもキラからの探りにとっさに言われる前に肯定してしまった。


━━━『好きですよ』


嘘はつきたくなかったし、この思いも嘘じゃないから。

だって、こんなに四六時中キラの事を考えている。
彼女の姿を見つけては一喜一憂する自分がいる。

この気持ちが『恋』といわれるモノじゃない訳がない。


━━それでも、もしこれが『恋』じゃないと言われたら、俺にはまだ早いということだ。

これ以上の思いなど無理だ。
今でもキラに会えないと寂しくて落ち着かないし、笑ってくれたら心が暖かくて幸せになるのに。

それ以上の気持ち等、大人になってからでいい。自分はキラへのこの思いで十分だ。


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