夢の始まり〈中篇〉



「そうだよ……悪いかよ」

「いや、悪いってかι…お前ホントにキラさんの事が好きなんだなぁ、ってな」

照れたように頬を染めるロディーは見ていて気持ちが悪い。

「…馬鹿にしてんのか」

「ん~、微妙だなぁ」

「って、否定しねぇのかよ…」

俺はあの怪しい四人組が社員の振りまでして忍び込もうとしたのは、実はキラさん目当てじゃないかと思った。

そんな俺の(キラさん至上主義的)考えはロディーを呆れさせるには十分だったようだ。

俺としては結構マジで考えたんだけど…。

「じゃあ、お前はどうなんだよ」

人の事を馬鹿にしたんだからお前は俺がすっげぇ納得する答えを用意してくれてんだろうな。

「は…?俺。いや、別に何も考えてないぜ」

「……」

あっけらかんと言い切る目の前の親友をぶん殴ってやりたい衝動に駆られた。
それでも耐えた俺は偉い。

で、ロディーはこの後、リンの見舞いに行ってみるそうだ。

俺もリンが心配だったから「俺も一緒に行く」と言ったら。

「お前はキラさんのトコ。野暮なことは言いっこなしだぜ!」…だ、そうだ。

やっぱり訳分かんない奴。リンが来たら色々と聞いてみよう。


******

キラさんは暫くっていってたけど、それって一体いつまでだ?

って事で俺は今モルゲンレーテ本社の第一ゲート前にいる。

キラさんの携帯番号は聞いているから何時でもかけれるけど仕事の邪魔するのも嫌だからメールにした。

内容は、仕事はどうですか?あんまり無理しないで下さいね、今日は家に帰って来れそうですか?といった在り来たりな文面だったけど、待つこと三十分。

「来たぁっ!!!」


メール、ありがとう。
仕事は漸く一段落ついて、今日これから帰れそうです。

まだ二回しか食べてないのにアスカさんのご飯がすごく懐かしく感じるんだ。
それにシンくんやマユちゃんにも早く会いたいな。


「今日…これからぁ!?」

俺は返信された文章を見て急いで返事を打ち返した。

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