夢のカケラ
「ここで終わり…か」
街に出掛けて何件か巡り歩いたが決まらず、とうとうこれが最後の店となった。
西洋風のレンガ造りで落ち着いた感じの外観に、シンは入るのが少し躊躇われたが相手にとって不足はなし!━━気分は戦場に向かう戦士のような気持ちだった。
この店に良い物があれば、俺の勝ちだ!等と訳の解らない設定まで造って、シンは店に足を踏み入れる。
カランッ、カランッ
「いらっしゃいませ」
店に入ると優しそうな女の人の声が聞こえた。
中を見渡すと、いままで行ったメルヘンチックなお店とは違い、外装同様に内装もシックでいわゆる大人向けの店だった。
自分にはまだ敷居が高い気がしたが、弱気になっている心を叱咤してシンは店内を見て歩く。
「うぅ~んιこれぐらいか…?」
店の中をぐるりと一周して、ようやく良さそうな物が見つかったが…
その商品の値札を見て思わず固まった。
(たかっ!!!なんでこんなに高いんだよ!!)
信じられずにもう一度値札のゼロを数えるが何度数えても同じで、減ることはなかった。
(うぅ~、これ買っちゃうと、しばらくデートには誘えなくなるし~
でも、初めての誕生日プレゼントだからなぁ~)
シンの頭の中では天秤が左右にぐらぐらと揺れ、耳元では天使と悪魔が囁きかけていた。
━━そして、悩んだ末に出した答えは…
「~~、すみません!!」
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