夢の始まり〈中篇〉
「キラさん、大丈夫ですか?あ!もしかして、どこか怪我でも?!」
慌てたシンはゆっくりキラの体を起こしてから、彼女の体を隅々まで隈なく確認した。
「へ…?あ!ううん、大丈夫!!!平気…だよ////」
シンの行動でようやく意識が現実に戻ってきたキラは、ぶんぶんと目の前で手を大きく振ってごまかす。
「そう…ですか?なら良いんですけど」
あんまり納得していない風だったが、シンはそれ以上深くは追求しないでくれた。
ホッと息を吐いてから、キラはようやく先ほどの自分の状態を再認識し始めた。
「ぁあああッ!!? ご、ごめんね!シンくん!シンくんこそ大丈夫だった!?」
今更だったが自分を庇ってシンが下敷きになった事を思い出す。
あの時は…、彼の事ばかり意識していて///
怪我の事まで全然気が回らなかった。
シンくんは僕を守ってくれたのに……
今度は逆にキラがシンの体をぺたぺたと確かめ始める。
でも、シンはキラのその手を優しく取って、何事もなかったかのように朗らかな笑顔を返した。
「はい、俺は大丈夫ですよ。これでも一応男なんで♪」
「ぅ…うん、そうだね///」
…分かっている。
自分も今し方その事を意識したばかりなのだから…。
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