夢の始まり〈中篇〉
控えめにノックして入った部屋は、窓から差し込む夕日でオレンジ色に染まっている。
そして、寝ているキラも同色に染まり、部屋に溶け込んで一体化していた。
「キラさん、凄いキレー…」
亜麻色の髪は輝いて、まるでキラ自身が光を発しているかのようにシンには見えた。
「…キラ、さん」
静かにベッドに近づいて眠るキラの頬を恐る恐る触れてみる。
滑らかで温かい
夢……じゃない。
キラが自分の家にいて、自分の目の前で眠っている。
「本当に…」
本当に彼女が此処に住むんだ…
キラといつも以上に一緒にいられる。
(嬉しい…)
シンは胸の前の服を握り締める。
なんだろう、このじわじわと体中に染み渡っていくような、ゆっくりとした嬉しさは━━━
体が……とても、あったかくて、顔が自然と緩む。
(俺……すごい嬉しい)
キラさんともっと一緒にいられて…
「ぅ……ん」
「ッ?!」
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