夢の始まり〈中篇〉




「シン、どっちでも良いけど、早くしないとキラさん待たせちゃうわよ」


「ん?…キラさん?」



…………。




「ぁあああーーーっ!!!そうだ!こんな奴らに構ってる場合じゃなかった!!」


「こんな奴らだとぉっ!!!」

「イザークッ!」

シンを追い掛けようとするイザークを二人で羽交い締めにして止める。

その様子を確認してからロディーとリンもシンの後を追った。


「ニコル、ディアッカ離せ!あいつには一発いれないと俺の気が治まらん!」

「治まった後はどーすんだよ。また尋問紛いの質問されたらお前は答えられるのかよ!」

「そ、それは…」

イザークも返す言葉がないようでやっと大人しくしてくれた。

「っていうか、アスラン。お前も止めろよな」

「ぁ…あぁ、すまない」


「?…アスラン?」

どんな時でも冷静沈着な彼らしくない歯切れの悪さにニコルは怪訝に思う。

「どうしたんだよ、ザラ隊長殿。ぼーっとして」

「…いや、何でもない…それより━━」



(早くしないとキラさん待たせちゃうわよ)

(ん?…キラさん?)


「……」

黒髪の少女と少年の言った懐かしい名前は、暫くアスランの頭の中から離れることはなかった。



━━キラ…か


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